花粉症⑤のその後。
ヒヨちゃんが教えてくれた「身体の約束」
3月6日。
ほんの、出来心でした。
朝食のリンゴを。
ほんの少しだけ。
外に出してみたんです。
花粉症で、
目はかゆいし。
鼻はもう、
完全に自由奔放。
そんな朝に。
なぜか私は、
リンゴを外に置いた。
理由は、特にありません。
いや、正確に言うと。
「なんとなく」
です。
人間の行動の8割ぐらい、
これでできていますからね。
すると。
来たんです。
ヒヨドリ。
(以下、ヒヨちゃん)
えぇ。
ものすごく、
当然の顔で。
「そこにリンゴがあるなら、来ますけど?」
と言わんばかりに。
ちょこんと。
しかも。
翌日も来る。
その次の日も来る。
つまり。
毎朝来る。
……すごくないですか。
人間より、
習慣が安定している。
私はというと。
昨日決めたことを、
今日やらない。
今日やろうと思ったことを、
明日に持ち越す。
そして。
その明日は、来ない。
えぇ、
よくある話です。
それなのに。
ヒヨちゃんは違う。
朝になると。
来る。
ただ、それだけ。
でも。
その「ただそれだけ」が、
ものすごく強い。
約束していないのに、来る。
誰にも言われていないのに、来る。
報酬の保証もないのに、来る。
これ。
身体なんですよね。
頭じゃない。
身体。
考えていない。
でも、動いている。
ここで、ふと。
私は思い出したんです。
あの、
杖の女性のことを。
信じられないスピードで、
歩いていた、あの背中。
あれもきっと。
頭じゃない。
身体が知っている動き。
世界一周をして。
いろんな景色を見て。
「人はこう生きる」
みたいなものを、
頭で理解したつもりになっていたけれど。
あの瞬間。
全部、ひっくり返ったんです。
身体の方が、先に知っている。
人生は、
身体から動き出す。
そして今。
ヒヨちゃんが、
それをもう一度、見せてくる。
毎朝。
同じ時間に。
同じ場所に。
ただ、来る。
これ、すごくないですか。
いやほんと。
ビジネス書より、刺さる。
セミナーより、効く。
むしろ。
静かに、えぐってくる。
「あなたの身体、ちゃんと使ってますか?」
って。
言われている気がするんです。
ちなみに。
私はというと。
最近、朝になると。
ヒヨちゃんを、待っている。
えぇ。
完全に、逆転しました。
人間が、鳥を待つ。
なんでしょうね、この構図。
でも。
なんだか、いいんです。
無理に頑張らなくてもいい。
ただ、来る。
ただ、そこにいる。
それだけで、
何かが整っていく感じ。
もしかすると。
身体って、最初から知っていたのかもしれません。
どう生きるか。
どう整うか。
どう戻るか。
そして。
どう、再起するか。
春が終わる頃。
人はなぜか、動き出す。
それはきっと。
環境のせいでも。
気合いのせいでもなくて。
身体が、「そろそろだよ」と言っているから。
ヒヨちゃんは、今日も来る。
私は、今日もそれを見る。
それだけの朝が。
少しずつ。
人生を、動かしている気がするのです。
再生する身体。
再起する人生。
その入口は、
案外こんな、小さな出来事なのかもしれません。



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